2012年12月30日日曜日

ハソリ 高台なし

ハソリとは、飲みくち部分が反り開き、ユリの花のようなデザインです。
口当たり良く、唇にのる感じで使い易いです。

食器洗浄機に入れる際、裏向けて高台を上にして入れますよね。
通常のお茶碗だと、洗い上がると、高台に水が溜まっていると思います。

この高台なしは、そうならないように食洗機で使いやすいデザインにしました。
高台の裏は緩やかな凹みがついていて水切りが良いです。
すぐに吹き飛びます。

汁椀や飯碗に使用する時も凹みに指がかかるので、慣れると不安はありません。




この形、大きさは汁椀として最も使いやすいです。
ハソリ高台ありと同じ大きさです。

このお椀は、ひっくり返しても起き上がってくるダルマの様な機能も備えています。

木地は日本産ケヤキです。



ハソリ高台なし  黒   径120mm    高さ65mm         ¥5400




ハソリ高台なし  赤                              ¥5400


日野椀は単色の黒仕上げの場合下に赤が、赤仕上げの場合下に黒が塗ってあり、長らくつかっていると、良く触る部分が自然に磨り減り、下の色が出て自然の時代仕上げになっていきます。この技法は根来塗りが有名です。




ハソリ高台なし  溜                              ¥5400

溜め塗りとは、顔料の入っていない漆本来の透け茶色です。

塗り上がって間もない状態では、黒に近いくらい黒いですが、1年くらいの時間をかけて透けて行きます。そして杢目がはっきり見える透け茶色で落ち着きます。

これは剥げて行くのではなく、漆自体が強度を増しながら透明に近づいて行くのです。
そしてケヤキの杢目が段々と見えてきます。



上の写真の左右とも同じ溜塗りです。
左は乾き上がってすぐの状態。
右は保育園の給食用として3年使われた現物です。

左の黒っぽい茶から使っているうちに、1年程で右の様な透け色に変化して行きます。
これくらいの透け色で落ち着きます。

本物の漆だけを使って実用に耐える厚みに塗り上げると、最初から杢目の透けて見えるものを作ることは不可能です。

漆器を育てるという言葉がありますが、この様に景色の変わって行くさまを表した言葉ではないかと思います。



2012年12月27日木曜日

ハソリ 高台有り

ハソリとは、飲みくち部分が反り開き、ユリの花のようなデザインです。
口当たり良く、唇にのる感じで使い易いです。
高台があるのでしっかり指がかかり安心感があります。




この形、大きさは汁椀として最も使いやすいです。

木地は日本産ケヤキです。


ハソリ 高台有り  時代黒  径 120mm  高さ 68mm      ¥6480

時代塗りとは、時代黒の場合、仕上げ塗りの際に、赤で仕上げた上に黒を薄く重ね、研ぎ出し、下に塗った赤が景色良くでた状態で、更に上から透け漆を塗り重ね仕上げた技法です。

日野椀は単色の黒仕上げでも下に赤が、赤仕上げの場合下に黒が塗ってあり、長らくつかっていると良く触る部分が自然に磨り減り自然の時代仕上げになっていきます。この技法は根来塗りが有名です。

日野椀時代塗りは、はじめからこの景色で仕上げた塗り技法です。




ハソリ 高台有り 時代赤                           ¥6480





ハソリ 高台有り  帯入り                          ¥6480


帯入りは全体は漆本来の半透明の茶色です。溜め塗りと言います。
時間が経つと漆が透けて、うっすらと木目が見えてきます。
帯の部分ははっきりと木目が見えています。
実は、この2種の技法を組み合わせるのは大変厄介な作業なのです。
この技法専用の機材を考案し、自作し、成功しました。
日野椀独自の技法です。
   

2012年12月24日月曜日

一文字椀

お椀や食器を持って食べる習慣は、日本独自のものの様です。
お隣韓国でも食器を持って食べるのはマナー違反らしいです。
西洋でも、ナイフ、フォーク、スプーンで持つ食器はカップとグラスだけですかね。

日本独自の文化 大切に美しく伝えて行きたいものです。

お椀を持つ時、自然と指をお椀の下に持ち替えますよね。
これは幼い頃から自然についた習慣で、意識なしに指が勝手に動いています。

しかし、子供や外国人、その他、末端が自由に動きにくい人にとっては難しい動作で、それが原因でひっくり返してしまう事が多い様です。

一文字椀は、持ち替えなしに安定して持てる機能を備えました。

少し大振りのこの器は丼もの、麺類、おでん、煮物・・・使う用途が大変広いです。
これでいただく うなぎ丼は 日本に生まれて感謝! 状態です。

デザイン的にも良いモノが出来たと自己満足です!

木地は日本産ケヤキです。



 

一文字椀  赤溜  小  径 120mm  高さ 84mm        ¥7020
             

             大  径 126mm  高さ 86mm        ¥8100

赤溜とは、赤(朱)で仕上げた上に、更に透け漆を塗り、赤を少しくすんだ渋い色に仕上げる技法です。
赤の上に薄く刷毛あとを残した仕上げは、手塗りでしか絶対に出せない味わいです。
美しい刷毛あとを出すのは熟練した職人さんにしか出来ません。






一文字椀 溜め塗り 小                           ¥7020      
               
                                    大                                                                      ¥8100

溜め塗りとは、顔料の入っていない漆本来の透け茶色です。

塗り上がって間もない状態では、黒に近いくらい黒いですが、1年くらいの時間をかけて透けて行きます。そして杢目がはっきり見える透け茶色で落ち着きます。

これは剥げて行くのではなく、漆自体が強度を増しながら透明に近づいて行くのです。
そしてケヤキの杢目が段々と見えてきます。



上の写真の左右とも同じ溜塗りです。
左は乾き上がってすぐの状態。
右は保育園の給食用として3年使われた現物です。

左の黒っぽい茶から使っているうちに、1年程で右の様な透け色に変化して行きます。
これくらいの透け色で落ち着きます。

本物の漆だけを使って実用に耐える厚みに塗り上げると、最初から杢目の透けて見えるものを作ることは不可能です。

漆器を育てるという言葉がありますが、この様に景色の変わって行くさまを表した言葉ではないかと思います。

2012年12月23日日曜日

ツヅミ椀

古くから作られて来たオーソドックススタイルです。
お椀と言えばこの形を連想される方も多いと思います。

木地は日本産ケヤキです。



ツヅミ椀 小 時代黒   径 128mm  高さ 80mm        ¥8640
   
      大          径 135mm  高さ 90mm        ¥9720


時代塗りとは、時代黒の場合、仕上げ塗りの際に、赤で仕上げた上に黒を薄く重ね、研ぎ出し、下に塗った赤が景色良くでた状態で、更に上から透け漆を塗り重ね仕上げた技法です。

日野椀は単色の黒仕上げでも下に赤が、赤仕上げの場合下に黒が塗ってあり、長らくつかっていると良く触る部分が自然に磨り減り自然の時代仕上げになっていきます。この技法は根来塗りが有名です。

日野椀時代塗りは、はじめからこの景色で仕上げた塗り技法です。





ツヅミ椀 小 時代赤                             ¥8640
  
       大                                    ¥9720




ツヅミ椀 小 帯入り                              ¥8640
       大                                   ¥9720

帯入りは全体は漆本来の半透明の茶色です。溜め塗りと言います。
時間が経つと漆が透けて、うっすらと木目が見えてきます。
帯の部分ははっきりと木目が見えています。
実は、この2種の技法を組み合わせるのは大変厄介な作業なのです。
この技法専用の機材を考案し、自作し、成功しました。
日野椀独自の技法です。




2012年12月22日土曜日

室町椀

日野椀で現存する最古の物は、室町時代に作られた祭器で日野商人館にて所蔵されています。
高台の高い大ぶりのお椀で、「もののけ姫」に出てきそうなインパクトあるデザインです。
漆は外赤、内黒
材はおそらくヒノキではないかと私は考えています。





そのレプリカが 室町椀です。 堂々たる風格です。

木地は日本産ケヤキです。



室町椀 赤黒       直径145mm 高さ105mm  木地 ケヤキ   16200円



室町椀 時代黒                                    16200円

時代塗りとは、時代黒の場合仕上げ塗りの際に、赤で仕上げた上に黒を薄く重ね、研ぎ出し、下に塗った赤が景色良くでた状態で、更に上から透け漆を塗り重ね仕上げた技法です。

日野椀は単色の黒仕上げでも下に赤が、赤仕上げの場合下に黒が塗ってあり、長らくつかっていると良く触る部分が自然に磨り減り自然の時代仕上げになっていきます。この技法は根来塗りが有名です。

日野椀時代塗りは、はじめからこの景色で仕上げた塗り技法です。




室町椀 時代赤                                    16200円



室町椀 ぼかし                                    19440円
全体は溜め塗りで、顔料の入っていない漆本来の茶色です。
杢目の部分だけはっきりと浮かび上がらせています。 
これも日野椀独自の技法です。

このカタチに木地を挽いて、綺麗な木目が真ん中に来るのは10個に1個程しか出来ません。
多くの条件が揃わないとこの杢目は出ません。
希少な木地でのみ制作できます。

            
             
  
        


2012年12月20日木曜日

日野椀はこんな風に創られています


一般的に漆器は繊細で取り扱いに気を使うイメージが定着しています。
事実多くの漆器は使って間もなくクラックが入ったり、漆が剥離して使い物にならなくなったりします。

日野椀はそんな漆器のイメージを払拭したくて試行錯誤しました。
毎日当たり前の様に使えてこそ良い道具であり、愛着がわくと思います。


日野椀が強い理由の一端をご紹介します。


日野椀は国産のケヤキ材を木地にしています。

従来、漆器の木地にはいろいろな樹種が使われています。
サクラ、トチ、ブナ、ヒノキ などです。
それぞれ特徴があり良い木なのですが、日野椀はケヤキにこだわります。
 
それは、漆の剥離に強いからです。

ケヤキは、導管(水分や養分が通る管、血管みたいなもんです)が太く、
削られた木肌には木目がはっきり深く、いっぱい穴が開いているのが見えます。


対して、サクラ、トチ、ヒノキなどは削られた面はツルツルで絹肌と言われるようになめらかです。



簡単に例えますと、
壁土やコンクリートをツルツルのプラスチックやベニヤ板の上に塗ってもすぐ剥がれますよね。
しかし、昔ながらのざっくり竹で編まれた下地に押し付けて塗っていくと、どんなに剥がそうと頑張っても剥がれないです。



こんな事が木地と漆という小さな世界でも起こっているわけです。


次は日野椀で使われている漆についてです。

漆は高温殺菌にも耐えられる新しい精製法で作られた『光琳漆』(京都 堤浅吉漆店製造)を使用しています。

通常の漆は水分を抜く精製の際、電熱器を使って生漆を温めたり、天日の下でゆっくりかき混ぜながら水分を蒸発させています。

しかし、漆を硬化する酵素ウルシオールは熱に弱く、蒸発の際にかけられる熱によりほぼ半分程が機能しない状態になっている事がわかりました。

光琳漆は特殊な方法で漆と水分を分離することに成功しました。
ウルシオールはほぼ100%生きたままで漆の精製が可能になりました。

この漆は素晴らしい強度で硬化し、日野椀の耐久性の一端を担ってくれています。
この光琳漆をふんだんに使用し、漆以外のものは極力、使用していません。

最初は木地に漆を塗るというより、導管に漆を詰め込んで行くという作業です。
強度を最高の状態に持っていくために、新しい技法と、機材を開発し、手作業で木目に漆を詰め込んでいきます。

そして、塗り→乾燥→研ぎ を6回~10回 繰り返し仕上げて行きます。

乾燥は、光琳漆の硬化を効率的に促進するための特別な室(ムロ 漆を硬化させるための特殊な部屋)を考案し使っています。

漆を乾かすとか乾燥させるなどと一般的に言いますが、この言葉は間違いです。
漆は一定の温度と湿度を与えられる事により化学変化をおこし、固まる性質を持っています。
完全硬化すると別の物質に変わり、酸にもアルカリにも溶けません。

完全硬化した漆器は漆の匂いはしません! 
そうでないモノもあちこちで沢山売られていますが・・・
漆器売場へ行くと独特の匂いがしますが・・・

少なくとも皆様にお使いいただく日野椀はしません。
制作を開始して8年あまり経ちますが(2004年より制作)日野椀を使ってアレルギー反応がでて、かぶれたという報告は1件もありません。

しかしながら、硬化した漆が唯一溶ける物質があります。
それはタンニンです。
タンニンはお茶やコーヒーに含まれています。
だから、漆器のコーヒーカップや湯のみが作られているのは、私はおかしいと思います。
事実、漆器にコーヒーいれて数時間置いておくと漆の匂いが戻ってきます。


日野椀は木地の仕立てから塗りの仕上がりまで、1つ創りあげるのに3ヶ月あまりかかります。
 
こうして丹念に心こめて作られた日野椀は一般家庭はもとより、幼稚園、保育園の給食用食器として、社員食堂やレストランの食器として食器洗浄機で毎日使われています。



 

日野椀の歴史と復興について

滋賀県蒲生郡日野町・・・ 
鈴鹿山系の麓、三重県との境、滋賀県でもディープで風光明媚なゆったりした素晴らしい田舎町

そんな所で日野椀は作られています。

日野は安土桃山~江戸中期にかけて、全国的にも知られた漆器の大産地でした。
蒲生氏郷公の奨励により木地師、塗師が集められ量産体制が出来上がりました。
近年の研究によると、木地となる材木は、遠く島根や鳥取から海路により取り寄せられていた様です。

そうして量産された日野椀は近江日野商人の最初の商品目として各地に販売されて行きました。
最盛期には全国シェアの1/3ほどの流通量があったと言われています。

こんな日野椀も時代と共に衰退し、江戸末期には途絶えてしまいました。

2004年春、日野町有志日野椀復興の会のご協力の元 日野椀を再現復興いたしました。

昔の日野椀がそうであったように日常使いの漆器として、現代の生活に合うように耐久性、使い勝手を考慮しました。
食器洗浄機にも耐えられる堅牢な作りと、人の手でしか出す事のできない暖かな風合いが特色です。

日野椀は、木と漆という自然の素材だけで作られています。
プラスチック製品から出る環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)の心配などなく、安全な食器として、子供さんにも安心してお使いいただけます。

幼稚園、保育園、学校の給食用食器として過酷な条件下でもお使い頂いており、耐久性も実証されています。
 
長くお使い頂いて傷んでまいりましたら修理も可能です。
 
毎日の食卓にいつも横にある。
多くの食器の中から意識なしに手が自然に選んでいる。
特別な時に使うのではなく、日常生活に溶け込む日本の伝統、自然素材の素晴らしさをいつまでも残していけたら幸せです。 

どうか末永くご愛用ください。